[記事のポイント]

(1)経済の起爆剤として期待がかかるカジノだが、一方でギャンブル依存が増加するのではないかとの懸念の声が出ている

(2)ギャンブル依存症はれっきとした病気だが、精神科医の間でもその認識が薄かった。だが最近は患者の脳内の変化も解明されつつある

(3)カジノが合法化されたあとギャンブル依存症対策を一気に整えたシンガポールのように、日本もこの問題にスポットを当てるべきだ

 

2016年12月、「カジノ法」こと、統合型リゾート整備推進法(IR法)が成立した。経済の起爆剤として期待がかかる一方、ギャンブル依存が増加するだけではないかとの懸念の声が出ている。

日本ではパチンコ、パチスロなどの依存に悩み、治療や支援の必要な人々が少なくないからだ。

「夢中で打っているときは楽しかった。でも半分は義務感だった」

こう話すのは西日本に住む40代のSさんである。彼が依存症に陥ったのはパチスロ。今は月に1回、治療のため精神科に通っている。

30代の頃にパチスロにのめり込んで数百万円の借金を作り、妻の叱責を受けた。「借金を返すためにしているようなものでした」とSさんは振り返る。パチンコ店にはもう出入りせず、患者同士の自助会に通うことを条件に、一度目の任意整理を行った。Sさんは患者会に数回通ったが、会の空気になじめず足が遠のいた。その足はまたパチンコ店のネオンに吸い寄せられた。