[記事のポイント]

(1)サイバー攻撃というと個人情報流出が想起されやすいが、世界ではいま知的財産やインフラ設備がターゲットにされている

(2)知的財産の窃盗による損失は、個人情報流出よりも直接的だ。国内でも多数発生しているが、被害者は外部からの報告で初めて気づく

(3)海外では発電所などインフラ設備への攻撃が相次いでいる。日本の評価を下げるために東京五輪が狙われるリスクにも注意が必要だ

 

サイバー攻撃はもはや、企業経営の根幹を揺るがしかねない脅威となったことは、日本でも認知が進んでいる。

象徴的な事件は、業務委託先の元社員が約2895万件もの顧客情報を不当に取得して売却したベネッセコーポレーションの個人情報流出である。これで中核事業である通信教育講座の会員離れに拍車がかかり、国内会員数は事件前の365万人から243万人へと激減した。このインパクトは想定以上に大きく、3期連続の減収減益となった2016年6月、「プロ経営者」で知られる会長兼社長の原田泳幸氏は辞任を余儀なくされた。

そのせいか、「サイバー攻撃=個人情報流出」と思われがちだが、これは氷山の一角にすぎない。世界ではもっと注意すべき事態が起こっている。知的財産やインフラ設備がターゲットにされているのだ。