朴氏の弾劾・罷免を受け5月9日に決まった大統領選。写真は世論調査で断トツの文在寅氏(時事)

政治的波乱が続く韓国。朴槿恵(パククネ)氏は大統領職を罷免され、収賄や職権濫用の容疑でついに検察の捜査を受けた。だが、韓国国民の関心は前大統領に対する捜査の動向より、5月9日に実施される次期大統領選挙の行方に向けられている。

最新の世論調査によれば、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)前代表が36.6%の支持率を記録、2位となった安煕正(アンヒジョン)・忠清南道(チュンチョンナムド)知事の15.6%を大きく引き離している。

文前代表は盧武鉉(ノムヒョン)元大統領(2003〜08年)の側近中の側近で、前回12年の大統領選にも出馬した。安知事は学生運動出身で、政治的スタンスは文前代表に近い。

次期大統領選はどのような選挙になりそうか。初の大統領弾劾後の選挙であること、そして政治的なスーパースターのいないことが特徴だ。

「弾劾により、韓国の政治や社会で新たな改革が始まるという期待が肥大化している。次期大統領がこれにどう応えていくかは大きな課題」と神戸大学大学院の木村幹教授(比較政治学)は指摘する。

一方、「文前代表はすでに15年ほど主要政治家として活動した人物であり新鮮味がない」(木村教授)。候補者に、民主化運動をリードしてきた金大中(キムデジュン)、金泳三(キムヨンサム)元大統領のようなカリスマがいない。直接選挙となった1987年の民主化以降の状況とは違う「ポスト民主化時代」の到来を示す選挙になりそうだ。 

新大統領の対日スタンスが気になるところだが、「保守=親日、進歩(革新)=反日と単純に見るのは誤り」(木村教授)。慰安婦問題や領土問題などで左右の温度差は重要ではなくなっているという。「重要なのは、その政権の安定度」であり、国内政策も外交政策も世論の大統領への支持度合いがその方向性を左右すると木村教授は見る。

経済改革はできるのか

誰がなっても次期大統領には難問が立ちはだかる。それは、経済だ。