平日夜にもかかわらず、国基連主催のイベントは満員の300人近い聴衆で埋まった

3月15日、東京・銀座のイベントホールに300人近い聴衆が詰めかけた。彼らの目当ては、今年1月から対象範囲が大幅に拡大された、個人型確定拠出年金「i(イ)De(デ)Co(コ)」に関する体験シンポジウムだ。

国民年金基金連合会(国基連)によると、1月のiDeCoの新規加入者は2万6705人。5000人足らずだった前年同月と比べ、5.5倍の増加になった(図表1)。

[図表1]
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「1月の資料請求は前年同月の8.6倍」(SBI証券)、「想定の3倍以上の申し込みが来ている」(楽天証券)、「20〜30代だけでなく、節税メリットに魅力を感じた50代からも申し込みがある」(野村証券)。制度の実施主体である国基連も、昨年度は40人弱だった事務処理部隊を180人に増員、対応に追われている。

ただ金融機関からは、「対象拡大後の出足としては必ずしも好調とはいえない」との声も上がる。盛り上がっているのは大手ネット証券を中心とした一部だけで、多くの地方銀行では思うように申し込みが伸びていないという。

今回の制度変更では、公的年金の補完を目的に、対象が企業年金に加入しているサラリーマンや公務員、専業主婦にも拡大。対象者数は従来の4000万人から6700万人へ増加した。1月の新規加入者数を年換算すると32万人で、パイ全体に占める割合として物足りなさは否めない。

メリットは大きいが…

iDeCoは、毎月の掛け金を自分で運用しながら積み立てていく私的年金。原則として60歳以降に受け取りを開始する。運用手段としては定期預金などの元本確保型商品と、投資信託に代表される元本変動型商品がある。

後者のみで運用すれば期待リターンは大きいが、その分、元本割れのリスクも伴う。一方、元本確保型だけで運用しても金利が低すぎるため、毎月発生する口座管理手数料などを差し引くと、元本割れしてしまう。各自でリスクとリターンを見極めながら運用していく必要がある。

それでも、iDeCoを活用するメリットは大きい。運用益が非課税になるのはNISA(少額投資非課税制度)も同様だが、iDeCoでは原則として掛け金の全額が所得税と住民税から控除される。また、受け取り時にも税制優遇が受けられる。

こうしたメリットがあるにもかかわらず、新生iDeCoへの新規加入が限定的なのは二つの理由が考えられる。