[記事のポイント]

(1)外資企業の受託生産品が主だった「メード・イン・チャイナ」が、賃金高騰や市場飽和を経て、いま変わろうとしている

(2)ドローン世界最大手のDJIのように、これまでのライフスタイルを変えうる革新的なスタートアップ企業が深センから続出している

(3)深センに起業家が集まる理由としては、プライチェーンの充実、投資マネーの集中、起業を支援するさまざまなサービスが挙げられる

 

中国では1980年代以降、家電やエレクトロニクス産業において多くの企業が急成長を遂げた。ただ、それらの企業の製品は基本的に、先進国で開発された機能を搭載していた。また、中国の製造業の発展により、私たちは「メード・イン・チャイナ」の製品に囲まれるようになったが、その製品は外資企業のロゴがついた受託生産品であることが多かった。

だが中国・深センでは近年、創業当初から斬新な製品を開発し、しかも世界で幅広く販売するスタートアップ企業が登場しつつある。最も有名なのはこの連載の第2回で紹介した、ドローンの世界最大手・DJI(大疆創新科技)だ。同社は世界市場で約7割のシェア(米投資銀行オッペンハイマーのデータ)を持っており、特に北米での売り上げが大きい。

こういった世界の消費者のライフスタイルを変えうる企業や製品が今後、深センから、さらには中国各地から続々と誕生する可能性がある。これらの企業は従来の中国企業とはまったく異なる成長パターンを歩み、中国経済全体の性質も大きく変える力を秘めている。

中国の家電・エレクトロニクス産業は、78年末に始まった改革開放政策の下で急速に発展した。この流れを代表する企業には、白モノ家電のハイアール(海爾)や、東芝の家電事業を買収したマイディア(美的)などが挙げられる。本稿ではまず、こういった既存の中国企業の成長パターンを簡単に振り返る。