国内各地に支社・支店を持つPR会社から講演の依頼が来た。テーマは「上杉鷹山の改革における、トップリーダーの徳と品性の保持」というものだ。私にとっては積年の鬱憤を晴らす絶好のテーマだ。なぜなら一般的に鷹山は、“リストラの名人”というようなレッテルを貼られてしまっているからだ。

鷹山は積極的経営者だ。彼の改革目的はあくまでも拡大再生産だ。そのために技術革新も行うし、先行投資も行う。

「その費用を生むためにムダを省こう」というのが、彼の倹約論なのだ。そこで冒頭にこのことを話し、「ケチと倹約は違います」と告げる。両者とも節約はする。が、節約によって得た剰余金の使い方によって両者は分かれる。ケチは自分のためにしか使わない。倹約は客のために使う。「前者がケチで後者が倹約です」。これは私が、江戸時代の大坂商人の作家である井原西鶴の『長者丸』を勝手に解釈した考え方だ。