[記事のポイント]

(1)深センを代表する企業・DJIは2013年に発売したホビー用ドローンで成功を収め、今や世界シェア8割を握る。世界が注目する「ユニコーン企業」だ

(2)DJIの事業戦略は、ドローンの継続的な強化に加え、川上・川下への展開、農業用など新セグメント開拓、人材育成などエコシステム強化と多方面に及ぶ

(3)DJI創業者のフランク・ワン氏は完璧主義的な強烈な性格とも指摘される。トップの「激極尽志、求真品誠」と呼ぶ方針が、圧倒的な製品を生み出す

 

2016年10月、中国・深セン市で開催された起業促進イベント「創業・イノベーションウィーク」。米アップルを率いるティム・クック氏、アリババ集団のジャック・マー(馬雲)氏、メッセージアプリのウィーチャット(微信)で有名なテンセント(騰訊)のポニー・マー(馬化騰)氏……そうそうたる経営者とともに、メインセッションで最前列に座った36歳の青年がいた。

彼の名はフランク・ワン(汪滔)氏。ドローンの世界最大手であり、深センメイカーズを代表する企業、DJI(大疆創新科技)の創業者だ。イベントには李克強首相も出席し創業支援を約束したが、李首相を前にワン氏は、「成功するには狭き門を通らねばならない。流行に乗って投機的に行動し、楽な道を歩もうとするのは、イノベーション精神の取り違えだ」と婉曲な表現ながら過剰な政策支援をいさめる胆力を見せた。

かつては電子製品の下請け加工の場にすぎなかった深センから近年、IoT(モノのインターネット)やロボティクスの製品が生まれている。中でもDJIが13年にリリースしたホビー用ドローン、ファントムは世界を席巻した。