経済評論家 山崎 元
やまざき・はじめ / 経済評論家。楽天証券経済研究所客員研究員。マイベンチマーク代表。1958年生まれ。野村投資信託、住友信託銀行など12回の転職後、現職。(撮影:今井康一)

おカネを殖やしたいと思っている人にとって、金融機関は“羊の皮をかぶった狼”。たくさんのワナがあるので注意が必要だ。

そもそも金融機関に資産運用の相談をしてはいけない。“お客様のために”という顔をして手数料を稼ごうとしている。それが証券会社、銀行、生命保険会社といった金融機関の経済的な現実だ。

(出所)筆者作成

マイナス金利政策で、金融機関の収益性は低下した。金利が低いので貸し出しや証券運用で利益を出すことが難しい。そのため金融商品の販売手数料で稼ごうとしている。

人は相談をすると、わずかではあっても心理的に借りができる。この心理状態で商品提案を受けると、そのデメリットについて冷静に考えることは難しい。そこでダメ出しをして断れる人は少ないだろう。

金融機関は無料相談窓口を設けているところが多い。だが、そこにいる担当者には人件費が支払われている。“無料”とうたっていても、担当者の時間を使えば、金融商品の販売手数料という形で、おカネを取られると考えるべきだ。

資産運用で最もダメなのは、退職金が振り込まれた銀行で資産運用デビューをするというもの。客の懐具合をよく知ったうえで綿密な提案を繰り出してくるので断りにくい。

また、金融機関は投資家のタイプに応じた運用方法を勧めることが多いが、これは間違っている。

たとえば「高齢者には分配金が毎月出る商品がいい」とか、「初心者にはバランス(資産分散)型投資信託がいい」などといわれることが多い。投資家にはタイプがあり、タイプに合った運用商品があるというのだ。しかし、リスクに対して期待リターンの高い商品があれば、投資家のタイプに関係なく、その商品を選ぶのが合理的なはずだ。違いがあるとすれば、投資家の総資産の額と、その中でリスク資産に振り向ける投資額についての考え方だけだ。

投資家タイプ別の運用商品という話は、売り手が商品を売るために作ったフィクション。投資効率のいい商品だけが売れるのでは手数料を稼ぐことができない。投資家はこの手の作り話に付き合う必要はない。

では、どうすればよいか。個人がおカネの運用を行うときは、現状では、次の三つの運用商品を知っておけばよい。