米国が冷淡になると日本は生きていけないという恐怖心が米国追従を生む(時事)

トランプ大統領が「アメリカ第一(America First)」というスローガンを唱えだして、各国にもそれをまねる風潮が強まっている。25年にわたって経済のグローバル化が進み、国家に係属することのない大企業の利益のために労働者、納税者が犠牲になっている状況に照らせば、政治家には自国の利益を第一に追求してほしいと願う人が増えるのは当然ではある。しかし、米国に限らずどこの国でも「〇〇第一」というスローガンは政治を否定するものである。

米国あるいは日本という国名は何を指すのか。言うまでもなく、一つの国の中にはさまざまな人や集団があり、利害も食い違う。ある国の構成員すべてを等しく幸せにする魔法の政策などない。税制と社会保障、規制緩和など具体的な政策を思い浮かべれば、それは明らかである。政治とはそうした利害の多様性を前提として、より多くの人々にとって利益となる政策を作り出し、それによって不利益を被る人々を説得したり、代償を提供したりして、合意を作り出す作業である。したがって現実を見ない〇〇第一というスローガンは容易に虚偽意識と堕し、なにがしかの政策によって不利益を被る人々の異議を封殺する効果を持つ。政治を否定するとはこのような意味である。

実際トランプ政権は選挙のときに、労働者層の利益を擁護すると訴えたが、政権には大銀行の元幹部が登用され、リーマンショック後に作られた金融規制はさっさと廃止した。大企業や富裕層に利益をもたらす減税も提案するようである。