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多国籍企業の撤退は脱税防止が原因なのか 米HDD大手シーゲートの蘇州工場閉鎖

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米シーゲイト社が蘇州市にある同社最大級のHDD工場を閉鎖すると発表した。中国では多額の追徴課税が原因ではないかと議論を呼んでいる。

シーゲイトはHDD事業の縮小を続けている。写真は2010年に閉鎖されたシンガポールの組立工場(AFP=時事)

世界最大のハードディスク駆動装置(HDD)メーカーである米シーゲイト・テクノロジーは、今年1月10日に「シーゲイト蘇州のすべての従業員へ」として、蘇州工場の閉鎖と2000人の人員整理を通告した。工場閉鎖のニュースは、シーゲイトが2015年に江蘇省の税務当局から巨額の追徴課税を要求されていたことを人々に想起させ、瞬く間に全国に広がった。特に中国の製造業が困難に直面し、企業が政府に対し減税を求めている時期だけに、一時、世論は騒然とした。

ネット上の主流の見方は、シーゲイト蘇州の閉鎖問題は、江蘇省国税局が14年に起こした「ばかなまね」が招いたというものだった。14年の暮れに江蘇省国税局は、シーゲイトが長年にわたって江蘇省で稼いだ利益を税率の低い国(タックスヘイブン)にある子会社に移し、税逃れを行っていると指摘した。

国税局の脱税防止チームはシーゲイトと一戦を交え、最終的に15億元(約250億円)の追徴課税を命じた。さらに15年には事前確認制度(APA。企業が将来の国外関連取引の妥当性について税務当局から事前合意を得る制度)の協定を結び、同社が今後、脱税できないようにした。シーゲイト側は最終的にこの協定を受け入れ、多額の追徴税の納付を約束した。これが、有力な多国籍企業の中国事業を縮小させ、旧正月の直前に現地で2000人の雇用を失う引き金になったという見方だ。

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