[ポイント1]
宅配便最大手のヤマト運輸が荷受数量の制限を設ける。労働組合が今年度の数量を上限とするよう求め、会社も受け入れる見通し。人手不足が限界に達した形だ

[ポイント2]
実はインターネット通販の宅配が伸びるほどヤマトの採算は悪化する。平均単価が下がるうえ、ドライバーが足りず外部の運送業者への委託配送が増えるためだ

[ポイント3]
2016年度の宅配事業は増収の一方で大幅減益の見込みで、ヤマトは値上げに打って出る。売り上げの1割超を占めるアマゾンとの交渉がカギを握る

 

急拡大するネット通販で宅急便の数量が増加。ネット通販が荷物の4割を占める拠点も(撮影:大澤 誠)

宅配便が増えても稼げない

クロネコがついにキレた。宅配便最大手のヤマト運輸が荷受数量に上限を設け、宅配便の総量規制に打って出る。これまで採算に目をつぶって荷物を際限なく受け入れてきたが、単価下落と人手不足で、ついに我慢の限界に達した。

ヤマト運輸労働組合が春季労使交渉で宅配便個数の抑制を会社側に求めた。具体的には来2017年度の取扱個数を、今年度の数量を超えない水準に抑えることを要望した。今年度の個数(予想)は18.7億個(前年度比8%増)。この個数が今後のヤマトのボーダーラインになる。

労組がごく一部の経営幹部と話し合いを進めてきたようで、会社側もおおむね受け入れる見通しだ。

ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスの経営陣は目下、苦しい立場に追い込まれている。

アマゾンをはじめとしたインターネット通販(EC)の市場規模は15年に約13.8兆円と5年間で1.8倍に拡大した(図表1)。それによってヤマトが運ぶ荷物が増え、中核であるデリバリー事業の売上高は着実に伸びている。

ところが営業利益を見ると、今16年度は2年連続の減益になる見込みだ(図表2)。17年1~3月期の3カ月だけを切り出すと、72億円の赤字(前年同期は15億円の赤字)となる。年末の繁忙期を終えた閑散期だが、赤字が5倍近くに膨れ上がる非常事態だ。

[図表1]

[図表2]