[ポイント1]
ファーウェイ、テンセント、DJIなど中国を代表するハイテク企業が本社を置く深セン。ベンチャーキャピタルの間では「アジアのシリコンバレー」とも呼ばれる

[ポイント2]
小さな漁村だった深センは、改革開放路線の下で1980年に経済特区となり、西側経済圏から隣接する香港を経て中国へ投資する窓口として発展した

[ポイント3]
初期は下請けの集積地だったが、創業を促進しハイテク分野への投資を促した深セン市政府の戦略が奏功。有力な国有企業が存在しないことも幸いした

 

経済成長の減速ぶりが際立つ中国で、世界の投資家、起業家の注目を集めている都市がある。わずか30年で、寒村からアジアに広がる製造業ネットワークの中枢へと変貌した広東省深センだ。その地位はかつてのような下請け産業の集積にとどまらない。ウェブで結び付いた世界の起業家が新たな形の製造業を創出する「メイカー革命」の聖地として、米シリコンバレーと並ぶ活況を呈しているのだ。

わずか30年で寒村から大都市に変貌した深センの街並み。右端は深センで最も高いビル・京基100

深センが生むダイナミズムを実感してもらうのに、格好の事例がある。この地の発展と並行してグローバルプレーヤーに育った企業だ。

巨大組織でリストラに遭い、男は亜熱帯の新興都市に活路を求めた。新天地で職を得たが、取引先にカネをだまし取られてまた失業。食いっぱぐれて仕方なく、友人と200万円余りを共同出資して通信機器の商社を始めた。43歳だった。

その企業は年商6.8兆円の巨人、ファーウェイ(華為技術)に育った。スマートフォンと通信設備の世界大手である。創業者の任正非氏は中国内陸部の貴州省出身。人民解放軍の技術将校だったが、トウ小平氏が1980年代半ばに断行した軍縮で失業し、84年に深センに来た。

プラスの視点 アクセスランキング バックナンバー一覧 TOP