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知将の誤算<中編> 「官僚黒田」から「総裁黒田」へ 人物ルポ 日銀総裁・黒田東彦

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控えめだった男はいかにサプライズ戦術と大胆さを学び、リフレ派の論客になったのか。「官僚黒田」から「総裁黒田」への変容をたどる。

(本誌:西澤佑介)(写真:大蔵キャリアの後半、知的情熱を発露し学究肌の論客として知られるようになる)

[ポイント1]
控えめと評された大蔵官僚・黒田に大胆さを吹き込んだのが「ミスター円」こと榊原英資元財務官だ。黒田は榊原の「異次元介入」にサプライズ戦術を学ぶ

[ポイント2]
1995年、79円台に進んだ超円高に対し、前例のない巨額為替介入を指揮したのが榊原だ。「とにかく勝つまで介入しろ」が現場の黒田への指示だった

[ポイント3]
2002年、黒田はインフレ目標など非伝動的な金融政策採用を訴える論文を河合正弘と共に発表。10年後、これを公約に掲げ首相となった安倍晋三から声がかかる

 

日本銀行の新総裁に内定した際、黒田東彦(はるひこ)は「そんなに控えめなほうでないと言われております」と(2013年3月4日衆議院)と自身を評している。若手時代に控えめで穏やかな能吏だった彼が、サプライズなどの演出を駆使し大胆な言動を取るあの「黒田総裁」へと、どう変貌していったのだろうか。

黒田が自身の手法をはっきりと心に刻んだ瞬間がある。それはある型破りな先輩官僚の豪腕を目の当たりにしたときだった。

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