かつて船田譲・栃木県知事は子供と老人にそれぞれ新しい施設を用意した。子供には“星空の夢を”という趣旨でプラネタリウムを主体とする天文館を、老人には“地域のよきリーダーを目指して”という目的でシルバー大学(老人大学)を設けた。私にシルバー大学での講義の依頼が来た。

本当なら私は星の話がしたかった。子供のときから異常に星が好きで、冬でも夏でも、いつまでも夜空を見ている。昔は東京でも星がたくさん見えた。

冬空で際立っているのは北の空で北斗七星だ。柄杓(ひしゃく)の先端の一辺を5倍にしてたどると北極星に着く。月の脇にピタリとついているのは金星で、朝は明けの明星、夕は宵の明星と呼ばれる。今も東京の空で輝きを失わない。毎夕飲み屋に出勤するときも、夜空を仰いで月の満ち欠けを見ながら月齢を計算する。そして下方の、守護神のように自分の座を守る金星の変わらぬ姿にホッとする。