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除去食に追われる学校給食の試行錯誤 クラスに1人はアレルギーという現状

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おおわだ保育園の給食では食の体験を重視し、フグやマツタケも出す。ゼロ歳児も同じメニューを離乳食にして食べる(撮影:梅谷秀司)

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「いただきます!」

おおわだ保育園(大阪府門真市)では、11時半を過ぎると年齢別のクラスごとに給食の時間が始まる。ゼロ歳児から5歳児まで全員、同じメニューを食べる。離乳食も例外ではない。

園児192人のうち、食物アレルギーがある子は1割程度いる。しかしアレルギーの原因食物を取り除いた「除去食」を食べる子は一人もいない。それもそのはず。おおわだ保育園は卵、牛乳、小麦をいっさい使わない「なかよし給食」を実施している。除去食を用意する必要がないのだ。

「卵と牛乳、小麦、ナッツ、ごまを使わなければ、ほぼ100%の園児が同じものを食べられる」とおおわだ保育園の馬場睦代園長は笑う。たまに使うツナなどへのアレルギーがある園児には除去で対応するが、回数はごく限られるという。

なかよし給食は6年前から開始したが、最初は試行錯誤の連続だった。ハンバーグには卵やパン粉が使えないため、豆腐やジャガイモで代用する。調理は委託から直営へ切り替え、材料購入から手掛けるようになった。不安な食材があれば、小児科医に相談してから献立に組み入れる。すべての園児はお代わり自由で、残食率も低い。「保育士や調理師は誤食に注意する必要がなくなり、給食の場で緊張することはなくなった」(馬場園長)。

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