「今までの悩み、苦しみはいったい何だったのか」

子どものアレルギーをめぐり、母親たちのため息が聞こえてきそうな大転換が起きている。

これまでは卵や牛乳などを避けることが、食物アレルギー予防の通説だった。しかし「原因食物の除去が逆にアレルギー患者を増やした可能性がある」(国立成育医療研究センターアレルギー科医長の大矢幸弘医師)。実際に小・中・高校のすべてで食物アレルギーの罹患(りかん)率は増えている(記事下図表2)。

さらには「完全除去するほど、体が過敏に反応する傾向がある」(昭和大学医学部小児科学講座の今井孝成医師)。アレルギー症状が複数同時に現れるアナフィラキシーの発症は、10年前と比べて小学生の場合は4倍まで膨らんでいる。

アレルギーの新常識はこうだ。原因食物は完全除去せずに、医師の指示の下で必要最小限の除去にとどめて食べ続ける。そして乳児は早いうちから、卵などを食べ始めることが予防につながる。

すでにアトピー性皮膚炎は、スキンケアや正しいステロイド薬の使い方が浸透して罹患率が下がっている(図表1)。早いうちに治しておけば、その後の「アレルギーマーチ」(図表5)を回避できる。アレルギー疾患は合併することも多く(図表6)、症状に苦しむ親と子のQOL(quality of life、生活の質)を著しく低下させてしまう。