東京証券取引所(上)と昨年市場を騒がせたフィットの目論見書(下)(撮影:尾形文繁)

株式の新規公開(IPO)を果たした後、順調に成長していった企業がある一方、上場時をピークに業績が悪化に転じる企業も少なくない。上場直後に不正会計が発覚するケースさえある。

2016年のIPOは前年より9社少ない83社と、7年ぶりに減少した。リーマンショック翌年の09年に比べ約4倍の水準だが、それでもITバブル期の203社やライブドア騒動のあった06年の188社には遠く及ばない。

IPOの低迷の根底には、成長企業の不足がある。証券会社の引受担当者は「有望な企業はあらかた上場した後で、IPOが可能な企業は枯渇してきた」(銀行系証券)と口をそろえる。昨年はIPOの数こそ前年比1割減で食い止めたが、新株発行による資金調達額は8000億円台と前年から半減した。

証券会社がIPO企業の発掘に難渋する一方で、長引く低金利を背景に高いリターンを求める資金は豊富にあり、ベンチャー投資ファンドの資金量は過去最高水準にあるとされる。こうした需給のアンバランスが市場に玉石混淆の状態をもたらす。IPOで資金を潤沢に確保し、成長につなげる上場企業が生まれるが、ベンチャーファンドや証券会社などの都合だけで、強引に上場する企業も少なからず交じってくるのだ。