藤原和博/東京学芸大学客員教授
正解主義とエセ平等の呪縛から脱却せよ

ふじはら・かずひろ / 1955年生まれ。東大経済学部卒。リクルートで新規事業担当部長などを歴任。2003年、都内初の民間出身中学校校長として杉並区立和田中学校校長に。大阪府知事特別顧問。(撮影:谷川真紀子)

まずは日本全体を覆っている「正解主義」の呪縛を解かないことには話にならない。

日本の高度成長期には、正解を見つけるのは簡単だった。だからこそ、物事を正確に早くこなす「情報処理力」が尊ばれたし、戦後の教育も社会のニーズにぴったり合っていた。

でも日本は、1998年ごろから成熟社会に突入している。成長社会は「みんな一緒」の社会であったのに対して、成熟社会では「一人ひとりバラバラ」になっていく。正解が1つということはなくなってしまう。

成熟社会で求められるのは、「情報編集力」だ。一言で言えば、「つなげる力」と「つながる力」。自分の知識、経験、技術をつなげるとともに、他人の脳ともつながって知恵を借りる。僕は「ネットワーク脳」と言っている。

これが面白い形で表れたのが、京大入試のカンニング。携帯電話で答えを調べるのは、入試というゲームの中ではルール違反だが、ビジネスでは、いろんなネットワークから答えを引き寄せてくる能力が重要になる。