全米で大反響を呼んだ『タイガー・マザー』という本がある。イェール大学法科大学院教授の著者が、娘に施した「中国式教育法」を記したものだ。彼女が実践を通して学んだ、中国式教育の強みと弱みとは何か。著者を直撃した。

イェール大学法科大学院教授 エイミー・チュア
Amy ChuaAmy L.Chua / 1962年イリノイ州生まれ。ハーバード大法学部を首席で卒業後、同法科大学院を修了。国際ビジネス弁護士として活躍後、デューク大教授などを経て2001年より現職。

──あなたの本は米国社会にショックを与えました。どの点が誤解されているのでしょうか。

最大の誤解は、これがガイド本であって中国式の子育てを称賛している、というものです。しかしこの本は、中国式子育てを称賛すると同時に、問題点も指摘しています。私は子育てに関する中国式・西洋式アプローチの両方を取り入れ、最良のバランスを図ろうとしたのです。

──中国式アプローチの短所は何でしょうか。

機械的な暗記を重視し、権威に疑問を投げかける姿勢を軽視する点です。これでは子どもは息苦しくて創造性を伸ばせません。イェール大学の私のクラスにはアジア出身の学生もいますが、中には、非常によく勉強するけれども、論文の構想を練る際に発想が貧困な人がいます。

思い返すと、ロースクールへ入学した当初の私も、優秀な学生ではありませんでした。何もかも暗記しようとしていたのです。自分の意見を述べることはおろか、考えをまとめることにすら自信がありませんでした。そのような訓練を受けてこなかったからです。

私が育った家庭では、食卓の話題は食べ物でした。夫が育った家庭では、夕食時に映画や芸術などさまざまな話題について議論したそうです。私たち夫婦は、自分たちが子育てする際には、夫の家庭のやり方を採り入れることにしました。