「お母さん、今までよく頑張りましたね。普通の母親では、この子たちはとても育てられませんよ」。この温かい言葉に続けて、医師から、小学校1年生の息子がADHD(注意欠如・多動性障害)であると知らされた瞬間、山口由希子さん(仮名)は、「子育ての暗闇から解放された気がした」と振り返る。

おしゃべりによる授業妨害、友達とのトラブル、授業中じっと座っていられない……、小学校に入学して以来、担任から電話がかかってこない日はなかった。家庭訪問では「しつけがなっていない」と家庭の責任を追及されてもいた。

「今までの謎が解けたという安堵感と同時に、『やっぱり』という気持ちもあった」。実は山口さんは、息子の育てにくさをずいぶん前から感じていて、すでに3歳児健診のときに保健師に相談していた。「元気な証拠、気にしすぎですよ」という保健師の言葉が今も耳に残る。もしあのとき、発達障害についての知識が自分にあったら、こんなに傷つかなくて済んだのに──。

薬物療法だけでなく自立を目指す「療育」を