イスラム教徒が多数を占めるイランやイラクなど7カ国の国民の米国入国を禁止するなど、就任早々から前例のない差別的な政策を連発しているトランプ米国大統領。同氏が選挙戦で掲げた重要な公約の一つは、4%成長の実現だった。しかし、直近の数字を見るかぎり、実現への道のりは遠く険しいといわざるをえない。

米商務省が発表したGDP(国内総生産)速報によると、2016年10〜12月期の四半期実質GDP成長率は年率換算で1.9%だった。図表1のように、13年から14年にかけて年率4〜5%に達した時期もあったが、その後は2%前後で推移している。

[図表1]
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消費や設備投資、輸出入などの要因別に寄与度を見てみると、直近2四半期は設備投資がプラス寄与に転じたことが大きな押し上げ要因だった。純輸出(輸出マイナス輸入)が落ち込み、成長を押し下げたが、内需主導の景気回復は持続しているようだ。

しかし、そもそも米国経済の潜在的な成長力は落ちている可能性がある。

米国議会予算局(CBO)は毎年、米国経済の潜在成長率を推計している。過去4年間の推計を比較すると、図表2のように、年を追うごとに下方修正されているうえ、最新の17年1月推計では20年代半ばの潜在成長率はついに2%を割り込むという予測になった。

[図表2]
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内閣府が今年1月にまとめた定例の報告書「世界経済の潮流」では、米国の成長率低下の要因として「高齢化の影響や労働生産性の低下」が指摘されている。同報告書によると、労働生産性の平均伸び率は00〜05年に3%程度あったが、10〜15年には1%未満に急激に縮小した。

では4%成長は何によって実現可能なのか。トランプ氏は税制改革や通商政策、規制緩和を行うとしている。具体的には現行35%の法人税率を15%に引き下げることや金融危機後に強化された金融規制の緩和、インフラ投資などが想定されている。