なつの・たけし / 1965年生まれ。NTTドコモ「iモード」の立役者。カドカワ、ドワンゴやグリーの取締役も務める。慶大特別招聘教授。(撮影:梅谷秀司)

IT界の御意見番 夏野 剛
「ハマる姿を子どもに見せる」

今、中1と小3の娘がいる。上の子はバレエに熱中しており、下の子にもバレエやピアノ、バイオリンなど、自分がやりたいことをひととおりやらせている。私の子育てのモットーは好きなことを存分にさせること。そのために、中学受験もさせなかった。

貴重な小学生の数年間を、暗記と計算力向上の勉強ばかりに充てるのはもったいない。今の中学受験はまだ暗記と計算力が中心だが、暗記はフラッシュメモリの世界、計算はCPUの世界。いずれも人間がコンピュータに負ける領域だ。

だが人間にもコンピュータに勝てる分野はある。それが好きな分野だ。機械は人間の経験よりはるかに多い数のサンプルを学習し、成功率が高いオプションを選ぶが、リスクの高い選択はしない。だからこそ、誰もやったことがないクリエーティブな選択は、それが好きな人間だから思いつく。好きな分野がどんなにニッチでも、インターネットの普及でその市場にたどり着くコストは下がっている。1.2億人中1万人が強烈に欲すれば、ビジネスとしても成立するのだ。