価格の掟
価格の掟(中央経済社/316ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
Hermann Simon●米サイモン・クチャー&パートナース会長。独ボン大学で博士号を取得。独マインツ大学、独ビーレフェルト大学で経営管理とマーケティングの教授、米ハーバード大学、米スタンフォード大学、英ロンドン大学、慶応義塾大学などで客員教授を務めた。

価格戦略の説得力あるノウハウを伝授

評者 北海道大学大学院教授 橋本 努

2012年のロンドンオリンピックでは、チケット販売の価格戦略が功を奏した。18歳未満の子どもに対しては「料金はあなたの年齢で」というスローガンを掲げて割引をする。6歳は6ポンド、9歳は9ポンドという具合である。この方法は評判を呼んで、首相や女王でさえも公式の場で賞賛した。加えてシニア層にも一定の割引を施した。

その一方で、一般の観客には絶対にチケットの値引きをしなかった。人気のない種目でも価格は一律にする。当然、観客は減ると予想されたが、それでもすべての競技は等しく価値があるのだから値引きできないと主張。妥協は一切しなかった。

結果として、チケット収入は当初の見込みよりも75%増に。しかもその額は以前の3回のオリンピック(北京、アテネ、シドニー)を合わせたチケット収入よりも多かったというのだから驚きだ。このようにチケットを「公平な価格で売る」というメッセージを伝えると、観客は減っても利益増につながるというわけである。