横浜のマンションは廊下の手すりのズレで傾きが発覚(撮影:今井康一)

「横浜のマンションが傾いている」──。全国民に衝撃が走ったのは2015年10月14日。売り主が住宅販売大手の三井不動産レジデンシャルであることに加え、杭打ちをした旭化成建材のデータ偽装もあり、報道各社は問題を大きく取り上げた。

そして昨年9月、このマンションの建て替えが正式に決まった。竣工からまだ9年の物件について、欠陥発覚から1年弱での決定。住民は異例のスピードで、全4棟の建て替えという「勝利」を手に入れた。

欠陥住宅をめぐる裁判は、全国で数多く起きている。しかし、物件の建て直しまで勝ち取るケースは珍しい。なぜ横浜のマンションは全棟建て替え決定に至れたのか。

発端は14年11月、マンションの西棟と中央棟を接続する廊下の手すりの2cmのズレに住民が気づいたことだった。住民が三井不動産レジに相談したところ、「東日本大震災の影響で問題はない」と回答。同社はその後ボーリング調査に着手した。その調査結果がなかなか出ない中、住民は、今度は横浜市に相談を持ちかけた。15年8月のことだ。市の職員は現場に赴いて、住民の話を聞き、事業者の調査結果が出たら再度相談に来るよう伝えたという。

翌月の9月15日。三井不動産レジと元請けの三井住友建設が横浜市を突如訪れ、「杭が支持層に届いていなかった」と報告。10月6日には旭化成建材による杭の施工記録のデータ流用の報告があり、8日後の新聞報道で問題は全国に知れ渡った。