昨年の大納会前日の12月29日、日経平均株価は一時309円安と、11月からスタートしたトランプ相場で最大の下げ幅となったが、底値では海外ファンドの先物買いが入ったほか、無数の個人投資家がETF(上場投資信託)の買いに動いた。欧米系大手から地場まで各証券会社の営業担当者は、「日本株を安く買うタイミングを待っている顧客が多い」と口をそろえる。

大和証券が2万3000円、野村証券とみずほ証券が2万2000円……。昨年末時点の証券各社による2017年の予想最高値はいずれも2万円の節目を超え、第2次安倍政権発足以来の最高値2万0868円を上回る水準だ。円安進行による企業業績の改善と、株主への利益還元強化が株価を力強く押し上げるシナリオである。

日経平均株価は2万3000円まで上昇する予想も出ている(撮影:尾形文繁)

特に為替相場が株価の方向性を決める材料になりそうだ。12年秋のアベノミクス相場の開始以降、日本株はドル円相場にぴったりと寄り添って動いている。この間の日経平均と為替の相関性を調べると、対ドルで1円の円安は日経平均を200円あまり押し上げている。今年も円安が進めば自動車や電子部品といった外需産業を中心に増益幅が拡大し、株価は上値を追うだろう。

だが、株式市場関係者の思惑どおりに円安が進む保証はない。

トランプ米次期大統領は今月5日、トヨタ自動車のメキシコ工場新設を批判したように、選挙期間中に掲げた「アメリカファースト(米国最優先)」の旗を降ろす気配はない。米産業界の国際競争力を弱める円安をトランプ氏が放置するとは考えにくく、為替市場の流れが円買い・ドル売りに転じる場面がどこかで訪れそうだ。