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日本/泥沼の戦争を招いた政党と近衛文麿の罪 亡国のポピュリズム、今よみがえる戦前の影

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自国中心主義、ポピュリズム、反知性主義、排外主義。これらをキーワードとして特徴づけられる今日の世界は、暗い予兆に満ちている。かつて世界は類似した時代を招来したことがあった。それは1930年代である。

世界恐慌下の30年代、各国は自国中心主義に走り、ブロック経済の壁を築いた。ヨーロッパではヒトラーが政権の奪取に成功する。日本は自ら対外危機を招き、その後、泥沼の戦争に陥っていく。

31年9月に勃発した満州事変では、政府、政治家、メディアは国民の排外主義をあおった。国民は満州事変を支持し、事変の拡大によって日本は国際的に孤立した。

日本陸軍は1931年に満州事変を起こすと、中国大陸への侵攻を本格化した。瀋陽城での日本軍(中国通信/時事)

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経済政策では、日本はブロック経済ではなく、開放的な自由貿易を求めた。金本位制からの離脱によって円安に誘導し、円安を利用して輸出主導による経済危機の克服を目指していたからである。

対外危機は国内危機を誘発する。32年に起きた五・一五事件によって犬養毅首相は暗殺され、政党内閣は崩壊。その後の日本国内では反知性主義が跳梁跋扈(ばっこ)する。天皇機関説事件や帝大粛正運動によって自由主義的思潮は排撃され、「日本版マッカーシズム」ともいえる言論封殺の旋風が吹き荒れる。

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