【今週の眼】早川英男 富士通総研エグゼクティブ・フェロー
はやかわ・ひでお●1954年生まれ、愛知県出身。東京大学経済学部卒。米プリンストン大学経済学大学院にて修士号取得。77年日本銀行に入行後、長年にわたって主に経済調査に携わる。調査統計局長、名古屋支店長、理事などを歴任し、2013年4月から現職。著書に『金融政策の「誤解」』(撮影:梅谷秀司)

日本銀行は9月に「総括的検証」を行い、従来の量的緩和から金利中心の枠組みに切り替え、持久戦の態勢を整えた。当面、政策対応が必要となる場合は1ドル=100円割れの急激な円高と思われていたが、米大統領選挙後のトランプ相場でその懸念はかなり薄れた。そこで今回は相当な先走りを承知で、2%の物価目標が達成された後のことを考えてみたい。

具体的な論点は、量的緩和の「出口」で日銀が被る巨額の赤字(=財政コスト)の処理である。この問題は、近年の準備預金制度の変化につれ紆余曲折をたどってきた。当初は、金利の正常化には大量に買い入れた国債を市場に売却することが必要と考えられていた。このため、長期金利急騰とこれに伴う金融市場の大混乱が心配の種だった。

だが、FRBが超過準備への付利を始め、日銀もそれに倣った結果、この問題は解消した。大量の国債を抱えたままでも、超過準備への付利を引き上げることで、利上げが可能だとわかったからである。実際、昨年末からのFRBの利上げもこの方法で行われている。