「うそつきテッド」に「ちびマルコ」、「ひねくれヒラリー」……。ドナルド・トランプ氏は競争相手にいちいちあだ名をつける。そしてお得意のツイッターで、多い日は1日10回程度、攻撃を加える。そんな人物が第45代米国大統領に就任する。

あらゆる政敵に打ち勝ってしまった今、標的としているのが「おんぼろニューヨーク・タイムズ紙」(The failing@nytimes)だ。5番街のトランプタワーから、「おんぼろNYT(ニューヨーク・タイムズ紙)の報道は間違っている。閣僚人事は順調に進んでいるぜ」などと、連日のようにつぶやいている。

トランプ氏は選挙期間中から、NYTに代表されるリベラル派メディアを仮想敵に仕立て上げてきた。壇上から会場の一角を指差し、「あそこにCNNがいるぞ!」と呼びかけると、大観衆がブーイングで応じる。支持者たちにとってメディアは、政治家やロビイストなどと同じ特権階級なのだ。

権力者がメディアを批判し、大衆が歓呼で応える時代。それを「米国的な反知性主義の伝統」とか、「ポピュリズムが蔓延している」などと腕組みしているようでは本質を見誤る。