「ほかのスポーツやギャンブルになく、競馬だけに存在する魅力。それが血統だ」。競馬評論家の亀谷敬正氏はそう話す。

現在、日本で走っている競走馬の大半は「サラブレッド」という品種の馬だ。その語源は「徹底的に(thorough)品種改良されたもの(bred)」だとされている。優秀な馬同士を掛け合わせ、何世代にもわたって品種改良を続けてきたのが競馬の歴史であり、それぞれの馬が先天的にどのような特性を持ち合わせているかを把握するための指標が血統なのである。

一口に競馬といっても、芝のコースもあれば、「ダート」と呼ばれる砂のコースもある。レースの距離も1000mから3600mまでさまざま。競馬場によってコース形態も違うし、距離や競馬場が同じでも出走メンバー次第で展開は異なる。つまり、いくら優秀な血統背景を持っていても、条件が異なれば強い馬にも弱い馬にもなりうる。それが血統の醍醐味の一つなのだ。

たとえば、その年のサラブレッド世界一を決める、フランスの凱旋門賞。今年は同年の日本ダービーで優勝したマカヒキが日本代表として参戦した。ダービーはその国の3歳世代(人間に例えれば高校生前後)の最強馬を決めるレースで、距離は凱旋門賞と同じ2400m。日本の競馬ファンから寄せられる期待も大きかった。しかし、結果は出走16頭のうち14着と惨敗に終わった。