売買役定書や念書、取引内容が記録された書類は、「飛ばし」が行われていたという動かぬ証拠だ

最近、金融不祥事が続発している。しかし、金融機関がその不正を素直に認めようとしないばかりか、隠蔽しようという姿勢には怒りを覚える。

噂されている「飛ばし」の問題もその一例である。証券会社は、いわゆる「飛ばし」の事実について、何もなかったかのような発言をしていることは実に腹立たしい。

私は、ある上場会社(小売業、以下T社)の経理担当者(取締役経理部長)として、実際にこの飛ばしを受けていた当事者である。そして、飛ばしで損失を出した責任を取って1992年3月に会社を辞めたものである。飛ばしが実際に行われていたというだけでなく、その手口についてもよく知りうる立場にあった。

私が勤めていたT社は、営業利益より経常利益が多い、つまり財テクによって営業外収益を上げていた会社だった。当時は、銀行からも「財務体質は健全」との評価を得ていた。

そろった「飛ばし」の条件

80年代後半のバブル時代は「銀行よさよなら、証券よこんにちは」という風潮の中で、T社もエクイティファイナンスにはものすごい力を入れていた。エクイティファイナンスこそ現代の錬金術であると思っていた。会社も、投資家も、証券会社も儲かる。みんなで「サクセスフル・イシュー」という言い方をしていた。