3月に新社長に就任する清水邦晃常務。“ブラック”批判を受け止め、改善を急ぐ(撮影:梅谷秀司)

「2015年以降のワタミをよろしく頼む」

14年12月末、東京都大田区のワタミ本社。月に2回開かれる定例の役員会の場で、桑原豊社長は清水邦晃常務を見ながらこう語った。

居酒屋チェーン大手のワタミは1月22日、3月1日付で桑原社長が代表権のない取締役に退き、清水常務が新社長に就任する人事を発表した。

ワタミの15年3月期は、居酒屋の苦戦で30億円の最終赤字に転落する見通し。自己資本比率も14年9月末時点で13.8%まで落ち込んだ。桑原社長が業績不振の責任を取ると同時に、次期社長の清水氏を中心に来年度の予算を策定するため、このタイミングでの人事発表に踏み切った。

清水氏は現在44歳。大学時代からワタミでアルバイトをしてそのまま入社。営業部長などを務めた後、06年に介護部門のトップに就き、同事業を軌道に乗せた。14年10月にはワタミフードサービスの社長に就任し、居酒屋事業の立て直しを任されていた。

「新社長としてまず取り組むのは、主力の和民業態を復活させること」(清水氏)。14年4月、同業態では付加価値の高い商品を中心に据えた、新メニューを導入。客単価の上昇とともに、売り上げ増につなげるもくろみだったが、価格に敏感な20代の顧客を中心に客離れが進んだ。結果、14年4~12月の既存店売上高は、前年同期比で約7%のマイナスとなった。

「今後は従来の強みだった割安感を打ち出して客数回復につなげたい」(清水氏)。現在、メニュー1皿当たりの内容量を減らし、皿単価を下げることで、幅広くメニューを選んでもらう実験を一部店舗で進めている。結果を踏まえて、3~4月をメドに全店舗に新メニューを導入する。

並行して労務環境の改善にも取り組む。「世間の“ブラック”という批判は真摯に受け止める。そのうえで安心して働ける環境を作っていきたい」(清水氏)。和民業態は原則、年中無休だったが、2月以降は全国の3分の2に当たる店舗で順次定休日を設ける。客数の少ない月曜日を中心に休みとすることで、従業員の負担を軽減する狙いだ。

アクセスランキング バックナンバー一覧 TOP