有料会員限定

核燃料サイクル維持にこだわる経産省の矛盾 1兆円で運転250日のもんじゅ廃炉でも固執

拡大
縮小

1兆円かけて運転は250日。失敗の検証をせず、実証炉を目指す経産省の意図は。

原子力関係閣僚会議はもんじゅ廃炉の検討を打ち出した。右は福井県に位置するもんじゅ(時事)

9月21日。政府の原子力関係閣僚会議は、1兆円という巨額の費用を投じながら6年にもわたって運転停止の続く、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、「廃炉を含め抜本的な見直しを行う」方針を決定した。日本が原子力開発の中核として推進してきた、「核燃料サイクル」政策に亀裂が入った。

ところが同じ関係閣僚会議では、もんじゅの廃炉検討と併せて、「『エネルギー基本計画』に基づき核燃料サイクルを推進するとともに、高速炉の研究開発に取り組むとの方針を堅持する」ことも了承。政策見直しの必要性が早々に“否定”されたのだ。

わが国の核燃料サイクル政策では、既存の原子力発電所(軽水炉)から出る使用済み核燃料を再処理し、ウラン・プルトニウムを分離・抽出したMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料を燃焼させる、「プルサーマル」発電を進めている。将来的にはこれに加えて高速増殖炉を実用化するのが目標だ(図表1)。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内