マイナス金利導入は説明不足

岩田一政 元日本銀行副総裁

いわた・かずまさ●経済企画庁経済研究所主任研究官、東京大学教授などを経て、2003〜08年に日本銀行副総裁。10年から日本経済研究センター理事長。(撮影:今井康一)

日本銀行は今回、2013年から続けてきた金融政策の総括的な検証を行ったが、本当ならばマイナス金利の導入を決定した今年1月に、政策の枠組みが変化したことをきちんと話すべきだった。「量的・質的金融緩和」(QQE)でマネタリーベースを拡大し、2年で2%の物価上昇率が達成できなかった理由を説明せず、現行の枠組みの強化策と位置づけることに無理があった。

また、直前までマイナス金利政策導入の可能性を否定しながら急に決めた点にも問題がある。サプライズが大きければ効果も大きいというのは、昔の中央銀行の発想だ。特にインフレ目標を導入するようになってからは、金融政策の透明性や予見可能性が重要だというのが海外の中央銀行の共通認識だ。

QQEの結果、為替が円安になり、株価が上がったり、企業収益が改善した。これは1つの成果だ。しかし、実体経済に与える効果は小さかった。期待インフレ率が思うように上がらなかったため、今後はマイナス金利を深掘りするしかないだろう。この政策は通常ありえないので、「マイナス金利にしないとデフレを克服できない」と明確に述べて、十分に理解を得るべきだ。銀行はまるで納得しておらず、収益が減るといって大反対している。