ソニーフィナンシャルホールディングス金融市場調査部長 尾河眞樹
おがわ・まき●米ファースト・シカゴ銀行などで為替ディーラーとして活躍。その後はソニーやシティバンク銀行で為替市場の調査などに従事。2016年8月から現職。(撮影:今井康一)

年初は1ドル=120円近辺で推移していたドル円相場。しかし、2月以降はジリジリと円高・ドル安が進み、6月から8月にかけて一時1ドル=100円を割り込む水準まで突っ込みました。

ここまで急激に為替相場で円高が進行した理由は何なのでしょうか。

年末年始の状況を振り返ると、昨年12月に米国連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切り、世界経済はリスクオンの方向に傾きつつありました。ところが年明け以降、原油価格の暴落を皮切りに、中国人民元の急落、英国のEU(欧州連合)離脱決定、米大統領選でトランプ氏が共和党の候補に決まるなどネガティブサプライズが立て続けに起こりました。

市場の雰囲気がリスクオンからリスクオフ(回避)に向かうと、海外に投資していた日本企業は資金を国内に戻してくるので、円を買い戻すことになります。また海外勢も含め、円キャリー取引(日本円で資金調達し、金利の高い外貨で運用)で収益を上げていた投資家も、手仕舞いのために円を買い戻します。さらに、リスクオフ=円高という図式が世界中に浸透しているので、投機筋が積極的に円を買い進めました。これらの要素が複合的に絡まり、半年で20円という急激な円高をもたらしたのです。