安倍晋三首相が北方領土問題の解決に向けて動き始めた。9月2日、ロシア極東のウラジオストクでプーチン大統領と会談。安倍首相は、領土交渉に「手応えを感じ取ることができた」と語った。12月にはプーチン大統領を安倍首相の地元・山口に迎え、平和条約締結と領土問題の前進を目指す。

しかし、北方4島の一括返還が困難な情勢の下、日ロ双方がどのような妥協点を見いだすのか。ロシアとの対立を深めている米国の反応も考えると、決着までにはかなりの曲折がありそうだ。

安倍首相は今年5月、ロシアの保養地・ソチでプーチン大統領と会談。その中で、日ロの平和条約交渉では「新しいアプローチ」をしていくと提案した。日本からの経済協力を進めて日ロ関係の改善を図りながら、平和条約交渉につなげていくという手法だ。ロシア側も大筋で評価しているという。

国内経済が原油輸出頼みのロシアにとって、このところの原油安は大きなダメージだ。さらに、2014年のクリミア編入に対する先進各国からの経済制裁によって、ロシア経済は疲弊している。日本からの経済協力は、まさに「干天の慈雨」だ。安倍首相の「新しいアプローチ」は、そうしたロシアの弱みを突いたものでもある。