神奈川県北部の清川村。その名のとおりの清流のほとりで秋田犬を繁殖しているのが、CHITOSE KIYOKAWA DOG FIELDの織田和明さん、初子さん夫婦だ。

繁殖者、いわゆるブリーダーといえば何十匹、何百匹を抱えるイメージがあるが、織田さんが現在世話しているのはわずか16匹。数がこれほど少ないのには理由がある。

織田さんはブリーダー以外の仕事を持つことで、犬に無理のかからない繁殖を心掛ける(撮影:大澤 誠)

犬舎を運営するには通常、広大な土地の費用に餌代、世話をする職員の給料など莫大なコストがかかる。このため繁殖数を増やし、オークションとペットショップというサプライチェーンに乗せなければ稼げないのが実情だ。だから大規模犬舎は半年置きに同じ母犬を交配させる、股関節形成不全などの遺伝性疾患を抱えた犬も繁殖に回すといった、犬の健康という観点では問題のある運営スタイルに陥りがちだ。

一方、織田さんにはシステム関連の仕事という本業がある。ブリーダーはその傍らのライフワークだ。兼業だからこそ、不健全な交配をしてまで犬を売りさばく必要がない。