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水産業、ゼロからの悪戦苦闘 工場流失、水産資源・労働力不足…

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ワカメやコンブの加工品を主力とするかわむら(川村賢壽社長)は、東北でも有数の水産加工会社だ。東日本大震災の直前には、グループ会社2社と合わせて工場、冷蔵倉庫、社屋など26施設を気仙沼市や岩手県陸前高田市に有していた。津波被害でそのうち22施設が全壊。一時は会社の存続も危ぶまれた。

だが、「事業をあきらめる選択肢は最初からなかった」という川村社長は、震災から2カ月後には北海道の大手ゼネコンに頼み込んで見積書もなしでの工場の再建工事を発注。わずか5カ月後の11年10月には製造再開にこぎ着けた。その後、中小企業庁から復興のためのグループ補助金を得て、一つまた一つと工場の復旧を進めていった。

川村社長が振り返る。

「補助金でカバーできない出費は20億~30億円にも上った。それでも工場の再建がスピーディにできたのでよかった。もし遅れていたら、会社の存続はなかったと思う」

川村賢壽・気仙沼鹿折加工協同組合理事長(左)

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復興を阻害する不漁と労働力不足

かわむらをはじめとする被災地企業は、国からの手厚い支援もあり、多くが存続の危機を脱している。だが本格再建の途上には、水産資源の不足と労働力不足の二重苦が新たな問題として持ち上がっている。

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