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和製高級時計は雲上になれるか セイコー&シチズン

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腕時計の世界には雲上(うんじょう)という言葉がある。雲の上の存在、最高級ブランドのことだ。日本メーカーは今、本気でこの高みを目指している。

(本誌:渡辺拓未)

写真左:セイコーは「グランドセイコー」を軸に戦う。写真右:シチズンは買収を駆使して世界に打って出る

「まさか自分が時計技師になれるとは思わなかった」。セイコーホールディングス(以下セイコー)の製造子会社、盛岡セイコー工業雫石工場で高級腕時計「グランドセイコー(GS)」の組立・調整師を務める伊藤勉さんはそう振り返る。

入社した1991年当時、工場には水晶と電気で動くクオーツ式腕時計の組み立てラインしかなく、伊藤さんは製造ラインのオペレーターとして働いていた。転機が訪れたのは1999年。雫石工場に機械式時計の製造部門が移転してきたのだ。このチャンスを生かして時計技師に転身した伊藤さんは、それから15年以上にわたり技術を磨いてきた。「機械式は、自分の努力がそのまま時計の仕上がりに反映されるのが醍醐味だ」とやりがいを語る。

セイコーが機械式GSを復活させたのは98年。10年からは海外展開を本格化させ、今年の新モデルも50万円以上のものが並ぶ。セイコーの服部真二グループCEO(最高経営責任者)は「GSを世界的ブランドにする」と息巻く。

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