8月8日に天皇は「高齢のため象徴としての役割を果たすのが難しくなってきた」と表明した(KPS)

8月8日、国民に向けてビデオ放映された天皇陛下の「お言葉」では、「生前退位」についてまったく触れられていない。

しかし放映される以前から、新聞などでは天皇が年来その希望をお持ちだということが確かな事実として伝えられ、それを前提とした世論調査さえ行われていた。

ひとえに天皇のご意向を察した宮内庁の「情報操作」が成功したというべきだろう。その根底には、高齢の天皇、皇后両陛下が、国事行為や宮中祭祀、かつての激戦地や被災地への訪問などに精励していらっしゃることに、多くの日本人が尊敬と同情の念を抱いているとの現実がある。

国民は生前退位を支持

現行の憲法や皇室典範には天皇が生前退位できるとの規定はない。しかし、ご自身がお望みならばそれも許されるとの暗黙の合意が、国民の間にできていると宮内庁は確信しているのであろう。

それは現実認識としては正しいかもしれない。が、そのようないわばセンチメンタルな空気にずっと頼るのは、危うい。そこでこれから重要となるのは、もちろん政治の側、政府・国会の対応である。