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各国が争った石油150年史 戦略物資の争奪戦

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中東の油田をめぐってはこれまでに幾多の衝突が生まれてきた(ロイター/アフロ)

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石油は昔から人類にとってなじみ深い物質であるが、大量生産技術の確立には長い年月を要した。1859年、米国のエドウィン・ドレーク(通称・ドレーク大佐)が岩塩掘削用のボーリング技術に目をつけ、ペンシルベニア州の油田掘削に応用して大量生産に成功した。

これによりペンシルベニア州の原油生産は1860年の45万バレルから翌々年には300万バレルに急増した。当時の原油需要は照明用(灯油)に限られていたため、供給過剰に陥り価格が暴落し、一獲千金を狙った多くの企業が倒産に追い込まれた。

そこに登場するのがジョン・ロックフェラーである。1870年にスタンダード石油を設立すると次々と石油精製所を買収した。80年代にはシェア8割と、市場をほぼ独占するまでになった。

1879年、トーマス・エジソンが白熱電球を実用化したため、照明用の需要が激減したが、80年代ドイツでゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツの手によってガソリンで動く内燃機関(ガソリンエンジン)が開発されると、ロックフェラーは原油から灯油を採取した後に捨てられていたガソリンが内燃機関の燃料として利用できることを思いつく。1908年、T型フォードが開発されると、米国は世界に先駆けモータリゼーションの時代に入った。

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