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「建築に保守的な日本は世界に出遅れる」 建築家 隈研吾氏に聞く

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新国立競技場のデザインを手掛ける建築家の隈研吾氏。世界から見た、現代の日本が抱える建築の問題点とは。

くま・けんご●1954年横浜市生まれ。79年東京大学建築学科大学院修了、2009年より同大教授。隈研吾建築都市設計事務所主宰(撮影:今井康一)

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──東京は虎ノ門、丸の内、品川など再開発が目白押しです。街づくりをどう評価していますか。

現在進行形の開発と、僕らが東京に望んでいるものとに、少しズレがあるように感じています。少子高齢化が進む、成熟した社会にふさわしいのは「渋い街」。中国の上海や北京のように、超高層ビルが次々と建てられる街ではない。

訪日観光客が右肩上がりで増え続けていることからもわかるように、現在の東京は海外の人々から評価されている。ただテロが多発する時代において、安全であること、健康志向の日本食、円安で楽しむショッピングなどの魅力は、一過性のブームにすぎない。評価され続けるかどうかは、街の中を歩く楽しみを観光客に感じてもらえるかでしょう。

欧州の街並みは歩くだけで楽しい気持ちになるし、今や中国でも「ウォーカブルな都市づくり」に舵を切っている。代表的な事例では、北京の前門地区の再開発があります。再開発に当たりデベロッパーは超高層ビルを建てる計画を出したが、一部の欧米ジャーナリストが、「歴史ある胡同(路地)を破壊するのか」と反対の声を上げた。結局、政府は伝統ある古い街並みを残し、下水道など衛生環境を整備する開発を進めることになりました。私の事務所が開発の一部を担当していることもあり、今年中に北京事務所をその前門地区に移転する予定です。

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