地域・時期を分散すれば観光資源はまだまだある

人口減による消費停滞への打開策として期待されるのが、訪日外国人(インバウンド)の増加だ。業界最大手・JTBの高橋広行社長に見通しを聞いた。

たかはし・ひろゆき●1957年生まれ。79年、日本交通公社(現JTB)入社。高松・広島支店長を歴任し2012年から常務取締役兼JTB西日本社長。14年6月から現職(撮影:谷川真紀子)

──訪日外国人が増えています。

2014年は10月時点で13年の1036万人(累計)を超え、1100万人と過去最高でした。14年内には1300万人に到達するでしょう。背景としてはマレーシア、タイなどに対するビザの発給要件の緩和、そして円安が大きいと考えられます。東京五輪の開催が決定し、世界的に日本への注目度も高まっています。15年もこの傾向は続きそうです。

──政府は「20年までに2000万人」の目標を掲げています。

訪日外国人数の伸びがあまりにも急速なので、受け入れ態勢が追いついていません。このままでは、政府の目標は厳しくなります。

ただ、訪日インバウンドに対する日本人の意識は前向きに変化しています。政府は「観光立国」の実現に本腰を入れ、地方行政でも今や観光誘致を語らない首長はいません。旅館やホテルも言葉や食の問題を克服しつつあります。

ガイド不足が深刻化悪質業者の対策急務

──受け入れ態勢の課題とは。

入国審査に時間がかかる、観光バスの運用が地域ごとに制限されているなど、課題は少なくありません。

中でも観光ガイドの不足は深刻です。現在、国家資格である通訳案内士は全国に約1万7000人いますが、実際に本業として従事しているのは1割程度です。しかも大半が英語のガイドで、アジア系などほかの言語は少ない。ガイドは安定した収入を得にくく、専業で生計を立てるのが難しいのです。制度の見直しが急務です。

一方、リベート目的でショッピングに連れ回すなど、訪日外国人を狙った悪質なガイドも存在します。これでは日本のイメージを落としてしまいます。ヨーロッパなどではインバウンド法を整備している国もあり、日本も対応を強化する必要があります。

──東京五輪の後にも、外国人旅行者は増える?