「ブレグジット(英国のEU〈欧州連合〉離脱)」が世界の政治・経済に与える影響はどこまで深刻なのか。政治リスク分析の第一人者、米ユーラシア・グループのイアン・ブレマー代表は警鐘を乱打する。

Ian Bremmer●1994年米スタンフォード大学で政治学博士号を取得後、同大学フーバー研究所で史上最年少研究員に。98年にリスク調査会社、ユーラシア・グループを設立。近著に『スーパーパワー』。

私は今年初め、2016年のトップリスクとしてまず欧州を挙げた。大西洋をまたいだ欧州と米国の同盟が空洞化するということ、そして欧州がますます分裂していくということだった。ブレグジットはそれらのリスクを証明した。今現在想定されている以上に、政治・経済への影響は長く、そして深くなっていくという確信が私にはある。

第2次世界大戦後にできた国際秩序を揺るがすリスクとして、ブレグジットは01年の米国同時多発テロ(9.11)や、08年のリーマンショックより巨大だ。それ以上のものは(1962年に米ソ間の緊張が核戦争寸前までに達した)キューバ危機くらいしか見当たらない。世界はますます「Gゼロ」の状態、つまりG7(先進7カ国)を構成する国々が指導力を失う事態に陥っていく。