製造業の生き残りを懸け、今ドイツが国を挙げて取り組んでいるのが「インダストリー4.0」。世の中のさまざまなモノがインターネットでつながるIoT(モノのインターネット)を、製造業に応用していく。日本で同様の仕組み作りに取り組む、法政大学の西岡靖之教授にその現状や可能性を聞いた。

にしおか・やすゆき●1985年早稲田大学理工学部卒業後、ベンチャー企業でシステムエンジニアとして働く。96年東京大学大学院博士課程修了。2007年から現職。好きな言葉は「つながるものづくり」。(撮影:今井康一)

──インダストリー4.0は何が先進的なのですか。

中身自体は目新しいものではなく、高度な技術が使われているわけでもない。ただ、コンセプトが洗練されている。旗振り役の政府が業界団体や学術機関を巻き込み、産学官でバランスのよい政策パッケージを作った。ドイツの基幹産業である製造業を次世代に向けて強くしたいという危機感が原動力だ。好景気も手伝って、豊富な資金が民間に流れた。

モノづくりはますますITの世界に接近する。たとえば自動車は、インフラの中でネットにつながらないものは無用になる。完成品メーカーは、全体のシステムの中で「部品」にしかなりえない。いいものを造って売ればおしまい、というこれまでの製造業は立ち行かなくなる。