(Bloomberg via Getty Images)

ザッカーバーグを一度間近で見たことがある。「テッククランチ」という米ITニュースブログが開催したカンファレンスを取材したときのことだ。2007年の9月だったから、もう4年半前になる。

ザッカーバーグは当時23歳だったが、Tシャツにジーンズでステージに登場したところはどう見ても高校1年生。スリムで小柄、ハンサムというよりキュートな少年の雰囲気だった。しかし、ひとたび彼が「人々が情報をもっとオープンに交換するようになれば、世界はもっとよい場所になる。フェイスブックはその実現を助ける」と熱を込めて説き始めると、会場は水を打ったように静まりかえった。遠大なビジョンを持ったカリスマリーダーの出現を感じさせた瞬間だった。

フェイスブックの誕生と成長を詳しく追ったノンフィクション『フェイスブック 若き天才の野望』で、著者のデビッド・カークパトリックも初対面で同じような印象を持ったと書いている。

やはりTシャツ、サンダル姿で、どこにでもいそうな平凡な若僧。しかし、彼が口にしたのはビジネスモデル、ユーザー数の増加ぶり、豊富な機能の売り込みなどではなかった。まず、「フェイスブックは電気や水道と同じ公共事業なんです」と宣言した。カークパトリックが、20歳を過ぎたばかりの若者にしては「たぐいまれな経営手腕だ」と称賛すると、「僕がやりたいのは会社を経営することじゃない。世界をよりよい方向に変えることです。フェイスブックはその手段なんです」と答えたという。