燃費不正が発覚した三菱自。主力の軽の販売停止で販売店は閑古鳥が鳴く(撮影:今井康一)

4月17日の日曜日、日産自動車の開発担当副社長、坂本秀行の携帯電話が鳴った。「不正が見つかった」。電話の相手は三菱自動車の開発担当副社長、中尾龍吾だった。

「まさか」と思ったのと同時に、坂本は昨年秋、三菱自の開発陣から聞こえたこんな皮肉を思い出し、苦笑した。「日産が次期型軽自動車の燃費目標を達成できないのは、日産に技術力がないからじゃないか」。

2011年から、三菱自は軽自動車の企画・開発を日産と合弁で行っている。三菱自が開発・生産した軽をそれぞれの販売網で売ってきたが、次期モデルから日産が開発を担当することになっていた。

日産の開発陣は、エンジン性能の改良などに尽力したが、一向に燃費目標を達成できない。そこで現行車の燃費を測定したところ、説明できないデータの乖離を発見する。「何がおかしいのか白黒つけよう」と、日産は15年12月にデータの乖離について合同調査を三菱自に申し入れた。調査の結果、不正なデータ操作が見つかったと三菱自首脳に最初に伝わったのが4月13日のことだ。