安倍晋三首相は、2017年4月に予定されていた消費増税を19年10月に延期するとともに、衆議院の解散回避を表明した。政局は7月10日投開票の参議院選挙に向けて事実上の選挙戦に入った。この決定に至った舞台裏を探ってみる。

6月1日午後6時、首相官邸。安倍首相は通常国会の会期末にあたって記者会見を行った。「アベノミクスは順調。さらにエンジンを吹かす」と胸を張る一方で、世界経済はリスクに直面していると説明し、消費増税の30カ月延期を明言した。1年半前の衆院解散時に「17年4月の消費増税は必ず行うと断言する」と述べたことについては、「公約違反との批判は真摯に受け止める」と語るにとどめた。消費増税の延期は「新しい判断だ」と強弁した。

この会見で気になったのは、安倍首相が増税延期にあたって「衆院を解散する考えがよぎった」と話したことだ。本来、首相は解散について言及しないことが政界の常識。「よぎった」というのは、かなり本気で考えたということだろう。