数年前、私は妻のメリンダとインドでも特に洪水の多い地域であるビハール州の稲作農家のグループを訪ねた。彼らは皆極めて貧しく、家計や食事を自らが育てたコメに頼っていた。

毎年、モンスーンが雨を運んでくると川が増水するため、稲が洪水の危険にさらされる。稲は全滅し、彼らはそのたびに都会へ逃げ、仕事を探してきた。だが翌年になるとまたそこに戻り、さらに貧しい状況の中で、田植えに備えるのだ。

世界の最も貧困な農家たちにとって、生活は安全ネットなしで綱渡りするようなものであることを、あらためて痛感させられた。裕福な国の農家とは異なり、彼らは改良された種や肥料、かんがい、その他有用な技術を利用することができず、損害を補償してもらうための農作物保険もない。干ばつ、洪水、病気などでたった一歩でも踏み外せば、彼らはさらに深い貧困と飢餓へと転げ落ちていく。

今後数十年の気温上昇は、特に熱帯地域の農業に大きな打撃を与えるだろう。少なすぎる雨、あるいは多すぎる雨により作物は育たず、暖かくなった気候の中で害虫が増殖し、作物を食い荒らすだろう。