小説家 原田マハ氏に聞く 『暗幕のゲルニカ』を書いた

✎ 1〜 ✎ 64 ✎ 65 ✎ 66 ✎ 最新
拡大
縮小

戦争の悲惨さを描いたピカソの名画『ゲルニカ』。そのタペストリーが国連本部のロビーからこつ然と姿を消すところから物語は始まる。9.11同時多発テロ後軍事色の強まるアメリカに、門外不出のゲルニカを呼び戻そうと奮闘するニューヨーク近代美術館(MoMA)の日本人女性キュレーター。大戦前夜、ナチスの軍靴迫るパリで世紀の大作を世に送り出すピカソとその恋人ドラ。二つの時代・二つの物語が同時進行、反戦のシンボル・ゲルニカをめぐって、人々の信念や欲望が交錯する壮大なアートサスペンスだ。

暗幕のゲルニカ(新潮文庫)
暗幕のゲルニカ(新潮文庫)(新潮社/410ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──この小説を書いたきっかけは何だったのですか。

基となる事件は2003年2月に起こりました。当時、イラクの大量破壊兵器疑惑をめぐって国際世論が紛糾し、私はその成り行きを関心を持って見ていました。ついにアメリカを中心とした連合軍がイラク空爆に踏み切るという前夜、当時のブッシュ政権パウエル国務長官が国連安保理会議場のロビーで会見したのですが、そのとき背景にあるべきゲルニカのタペストリーに暗幕が掛けられていたんです。前代未聞の光景で、ほぼリアルタイムで見ていた私は、非常にショックを受けました。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内