「百貨店の“場所貸し"は加速するしかない」 インタビュー/J.フロント リテイリング社長 好本達也

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「インバウンドは必ず力強く戻ってくる」と述べた好本社長(撮影:尾形文繁)

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「脱百貨店」を掲げて百貨店のテナント化を進めてきたJ.フロント リテイリング。業界内では異彩を放つ存在もコロナ禍には抗えず、傘下の大丸や松坂屋は大幅な売り上げ減に見舞われた。2021年2月期の最終損益は200億円近い赤字に転落する見通しだ。先行き不透明な中、同社の好本達也社長が描く生き残り策とは。

アパレル退店でも生き残れるモデルに

――客足の回復を含めて、業界の展望をどう見通していますか。

なかなか確実なことが見えない。例えばEC(ネット通販)などデジタル分野がものすごいスピードで進化していく中で、2年前には(J.フロントが長期ビジョンとして想定している)2030年に起きると思っていたことが、来年か再来年にはおそらく起こってくる。

――EC普及や巣ごもり消費など、消費行動の変化が加速しています。

インバウンド(訪日外国人)需要は別として、ファッション商品の需要が大きく減っている。ECに流れた影響もあるが、それよりも需要自体が消し飛んでしまっている。リモートワークが今後どの程度定着するかによって、ファッション商品の将来も全く変わってしまう。

――百貨店でのアパレル販売は従来から苦戦が続いていましたが、コロナでそれがより鮮明になっています。

2017年度から5カ年の中期計画では、市場が縮小している婦人服について売り場面積の3割削減を進めてきた。それがコロナで加速してくることは間違いない。なくなるわけじゃないけれど、今のやり方を続けていく限り縮小していくだろう。

婦人服売り場をバサッとほかのものに変えてしまうのも1つの手段だ。ただ、結構お金もかかるし、何より代替するカテゴリーが必要。化粧品やラグジュアリーブランドが従来伸びていたが、インバウンド激減でいったん見極めに入っている。そうすると転換するものがない。

もう少しコンパクトなブロックごとに、婦人服から転換していく方法もある。しかし、アパレル大手のオンワードさんやワールドさんがどんどん出ていって、短期的な対応をどうしていくか考えざるを得ない。

――地方店や郊外店では、大手アパレルメーカーの大量退店の影響が顕著に現れています。

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